第18回 栃木民医連 学術運動交流集会を開催しました

開催概要

2026年1月28日(水)、虹の杜をメイン会場に「第18回 栃木民医連 学術運動交流集会」を開催しました。
会場参加とオンライン参加を併用し、多職種・多事業所の職員が集い、日々の実践を持ち寄って学び合う時間となりました。

今回のテーマは、
「~ともに学び、ともに語ろう~ 多様な生きづらさに寄り添う医療・介護孤立をふせぎ 誰もが輝ける地域を目指して」
医療や介護の現場で直面している課題を、職種や立場を越えて共有し合う集会となりました。

 

関口会長の挨拶

開会にあたり、関口会長より挨拶がありました。
まず、日々の忙しい業務の中で実践をまとめ、発表に臨んだ職員一人ひとりへの労いと感謝の言葉を述べました。

その中で、昨年の栃木民医連学術運動交流集会で発表された
「協立診療所で始めるグリーフケア」の実践が、
全日本民医連の学術運動交流集会に選出され、第16回全日本民医連表彰受賞されることになったことが紹介され、日々の現場で積み重ねてきた実践が全国的にも評価されたことは、
栃木民医連全体の大きな励みであり誇りであります。

また、医療や介護の実践は、成果や数値だけでは測れないものであり、
患者や利用者、家族に寄り添う過程そのものに大きな価値があること、
そして支援する側もまたケアされながら実践を続けている存在であることに触れ、
今回の集会がそうした実践の意味を確認し合う場になることを期待すると挨拶されました。

 

 

10演題の実践報告

 

  • 送迎患者について(宇都宮協立診療所)
    高齢化が進む中で通院手段を確保することが治療継続の前提となっている現状が示され、送迎を通じて見えてくる生活背景や不安に医事課としてどう関わってきたのかが丁寧に語られるとともに、「ここに来るのが生きがい」という患者の言葉が支援の意味を物語る発表でした。

  • 紙媒体広告は小児新規患者獲得につながるのか(宇都宮協立診療所)
    子育て世代向け冊子への広告掲載をPDCAサイクルで検証した実践報告であり、結果として新規患者獲得には直結しなかったものの、費用対効果を検証する視点が共有され、「うまくいかなかった結果も次に活かす」という姿勢が印象に残りました。

 

  • 訪問栄養指導の取り組み(宇都宮協立診療所)
    管理栄養士が家庭を訪問することで食事だけでなく生活全体が見えてくることが報告され、多職種と連携しながら在宅生活を支えていく役割の重要性が示されるなど、栄養支援が「暮らしを支える医療」であることを実感する発表でした。

 

  • 生活に寄り添う「お節介」~繋がりを第一に~(宇都宮協立診療所)
    生活相談チームによる訪問活動を通じて、声を上げられない困りごとにどう向き合うかが示され、支援につながらなかったケースも含めて現実の厳しさと葛藤が率直に語られる中で、「伴走型支援」の意味を改めて考えさせられる実践でした。

 

  • AAAスコアを用いたフットチェック導入の評価(宇都宮協立診療所)
    糖尿病患者の足病変リスクを可視化し効率的な介入を目指した取り組みであり、看護師の業務負担軽減と重症化予防の両立を図る工夫が具体的に示され、現場発の改善が診療の質向上につながることを感じる報告でした。

  • 通所型サービスC事業を開始して(デイサービス虹)
    3か月間の集中的な支援が利用者の生活機能や意欲にどのような変化をもたらしたのかが報告され、「できるようになった」という体験がその後の行動変容につながっている様子が伝わる、介護予防の可能性を具体的に示す実践でした。

 

  • 介護支援専門員のシャドーワークとは(居宅介護支援虹)
    ケアマネジャーが担っている制度上は見えにくい支援の実態が共有され、緊急対応や調整業務など在宅生活を支えるために欠かせない関わりが浮き彫りになるとともに、現場の負担とやりがいの両面を考えさせられる発表でした。

 

  • 進行スピードの速いALS利用者と家族への支援(訪問看護ステーション虹)
    病状が急速に進行する中で本人と家族の意思決定をどう支えるかが丁寧に報告され、多職種が悩みながら関わり続ける姿勢が強く印象に残るとともに、支援する側もまた揺れ動く存在であることを共有する発表でした。

 

  • 愛着の不安定さをもつ若年女性への看護支援(生協ふたば診療所)
    診療所が「安心できる基地」となることを目指した看護実践が紹介され、先手的な関わりと多職種連携の積み重ねが信頼関係を育んでいく過程が描かれる中で、診療所の役割を改めて考えさせられる発表でした。

 

  • 身近な場所にある安心の相談窓口として(緑が丘・陽光地域包括支援センター)
    日常の相談を受け止めることが孤立を防ぐ大切な支援につながっていることが示され、医療機関や地域との連携の中で果たす役割が共有されるなど、地域に根ざした支援の重要性を再確認する発表でした。

参加者の感想より

集会終了後に寄せられた感想の一部をご紹介します。
日々の実践を振り返り、次の一歩につなげようとする声が多く寄せられました。

  • 「普段は当たり前のように行っている支援が、実はとても大切な実践なのだと気づかされました。
    自分の仕事を振り返る良い機会になりました。」
  • 「他職種の発表を聞くことで、自分の関わり方を見直す視点をもらいました。
    同じ利用者さんを見ていても、立場によって見え方が違うことを改めて感じました。」
  • 「うまくいった話だけでなく、悩みや葛藤も含めて共有されていたことが印象に残りました。
    一人で抱え込まなくていいのだと思えました。」
  • 「制度や数字では語れない現場の話を聞くことができ、民医連の学術運動らしさを感じました。」
  • 「明日からの業務で、患者さんや利用者さんへの声かけを少し変えてみようと思いました。」

感想からは、参加者一人ひとりが自身の実践を持ち帰り、
それぞれの現場で生かそうとしている様子がうかがえました。

事務局長より

今回の学術運動交流集会では、成果だけでなく、迷いや葛藤を抱えながら人に寄り添おうとする現場の実践が数多く語られました。

医療や介護の仕事は、制度や数値だけでは測れない関わりの積み重ねであり、今日共有された一つひとつの実践は、地域の中で孤立をふせぎ、「ここで暮らし続けたい」という思いを支える力になっています。

栃木民医連はこれからも、現場の声を大切にしながら、ともに学び、ともに語り合い、誰もが輝ける地域づくりを進めていきたいと思います。

栃木民医連 事務局長 工藤鉄明