地域の歴史と平和を見つめる――教育育成委員会・宇都宮平和FW

日々の業務のなかで、平和や戦争について考える時間は、意識しないとつい後回しになってしまうことがあります。
だからこそ今回は、実際に地域を歩き、目で見て、肌で感じながら、「いのち」と「平和」をあらためて見つめ直す一日にしました。
大谷という土地の“時間”に触れる
フィールドワークの舞台は、大谷地域。
大谷石の産地として知られ、採石によって街が形づくられてきた土地です。
車中では、地域の成り立ちや景色の変化、暮らしの移り変わりについて話が交わされました。
「昔はこのあたりに住宅が多かった」「今は観光地化が進み、カフェやお店も増えてきた」など、
ふだん通り過ぎてしまう道にも、たくさんの歴史が積み重なっていることに気づかされます。
また、大谷の地下には採石場の跡が広がり、場所によっては空洞や水がたまっていることもあると言われています。
「掘ったあとが街のすぐ近くまで続いているかもしれない」という話に、参加者からは驚きの声もあがりました。
大谷石が地域の誇りであり、暮らしを支えてきた一方で、採石に携わった人びとの働き方や健康への影響、
そして街の盛衰も含めて、決して一言では語れない奥行きがあることを共有しました。
平和観音と慰霊碑の前で、静かに立ち止まる

今回のフィールドワークの大きな目的のひとつが、平和観音周辺にある慰霊碑を訪れることでした。
平和観音は、その大きさと存在感に圧倒されます。
「こんなに近い場所に、こんな大きな観音さまがいたんだ」と、改めて実感したという声もありました。
そして、慰霊碑の前に立つと、空気がすっと変わるような感覚があります。
石碑には、この地域から戦争に行き、帰らぬ人となった方々の名前が刻まれていました。
「この地域だけでも、これほど多くの名前があるのか」――その事実の重さに、言葉を失う瞬間がありました。
目の前に“名前”として刻まれた戦争の記憶は、教科書やニュースで触れる戦争とは違い、
ぐっと身近な現実として胸に迫ってきます。
参加者の声:「身近にあるからこそ、忘れない」
フィールドワークの終盤には、参加者それぞれが感じたことを言葉にして共有しました。
印象的だったのは、「身近な場所に、平和を考える“場”があること自体がとても大切だ」という声です。
小学校の遠足以来、久しぶりに訪れたという方もおり、
「改めて、地域のことを知ることができた」「慰霊碑があることを初めて知った」といった感想が出されました。
また、いま世界でも国内でも、緊張が高まるような出来事が続くなかで、
「平和が当たり前ではない時代に戻りつつあるのではないか」という危機感も共有されました。
「戦争が始まってしまえば、私たちも“駆り出される側”になり得る」
「だからこそ、そういう現実にしないために声をあげ続けたい」
そんな言葉が、自然に交わされたのがとても印象的でした。
学びを、日々の実践と職員教育へ
栃木民医連は、地域に根ざした医療・介護・福祉を担うネットワークです。
そして私たちが大切にしているのは、目の前の患者さん・利用者さんの「いのち」を守ることと同時に、
その土台となる「平和」を守り抜くことです。
平和がなければ、医療も、暮らしも、学びも、安心も成り立ちません。
今回のフィールドワークは、ただ見学して終わるのではなく、
参加者同士が感じたことを言葉にし、受け止め合う温かな時間にもなりました。
教育育成委員会として、この学びを今後の職員教育、学習会、若い世代との交流の場へとつなげていきます。
「身近な地域にある記憶」から出発し、私たち自身の足元を確かめながら、
これからも“いのち”と“平和”を大切にする実践を積み重ねていきたいと思います。
