秋の県民総行動 栃木県庁へ要請書を提出しました

2025年11月19日、栃木民医連は「くらしと福祉・教育の充実をめざす栃木県民運動連絡会」および栃木県労働組合総連合の仲間とともに、秋の県民総行動として栃木県庁を訪問し、福田富一知事あてに要請書を提出しました。
当日は、医療・福祉・教育・労働・農業など幅広い分野の県民団体が参加し、現場の実態に基づく切実な声を県へ届けました。会場には多くの参加者が集まり、熱心にメモを取りながら、互いの発言に耳を傾けていました。
秋の県民総行動と要請行動の概要

今回の要請書は、
- くらしと福祉・教育の充実をめざす栃木県民運動連絡会 代表 工藤鉄明
- 栃木県労働組合総連合 議長 青木康裕
の連名で提出されました。
医療・介護・福祉の現場では、物価高、人手不足、受診トラブルの増加など、これまで以上に厳しい環境が続いています。こうした状況を踏まえ、県として国に対して「社会保障の拡充」を明確に求め、県民の暮らしと命を守る立場を示してほしい――この思いを込めて、秋の県民総行動としての要請行動を実施しました。
要請書の手交 ― 現場の声を県政へ
要請書の提出は、緊張感のある中にも、丁寧さと誠意が伝わる場面となりました。連絡会の代表が要請書を手渡し、県の担当者が真剣な表情で受け取る様子が印象的でした。
要請書では、
- マイナ保険証と従来の健康保険証の併存と選択の自由の確保
- 医療・介護・福祉・年金など、社会保障関係費を抑制から拡充へ転換すること
- 医師・看護師・介護職員の配置基準の見直しと、実効性ある処遇改善
- NHO宇都宮病院・JCHOうつのみや病院の再編・統合・病床削減計画の撤回
などを求めています。
「このままでは地域の医療機関が持たない」「平和であってこそ、社会保障も医療も成り立つ」という思いを、私たちはあらためて県へ伝えました。
参加者から寄せられた声
要請書の提出後は、参加者による意見交換が行われました。それぞれが現場を抱えながら、日々感じている課題を一つひとつ言葉にして共有する時間となりました。
医療・介護職員からの訴え
- 介護現場では、20人以上の利用者を1人でみなければならない日もあるほどの人員不足が続いている。
- 早番と遅番を続けて担うなど、長時間労働が慢性化し、心身の負担から離職が相次いでいる。
- 処遇改善加算などの手当ではなく、基本給としての賃上げが不可欠である。
- 小規模クリニックは、マイナンバーカード対応機器の導入すら難しいほど経営が逼迫し、廃業の危機に立たされている。
「患者さんのために働き続けたいが、生活が成り立たない」「このままでは医療の現場から人がいなくなってしまう」――こうした切実な声が次々に寄せられました。
学校給食と子どものくらし
- 小学校だけでなく、中学校の給食無償化の早期実現を求める声。
- 食材費の値上がりにより、特に兄弟がいる家庭の負担が大きくなっている実態。
- 地場産食材の活用や、環境負荷の少ない食材への切り替えを支える県の独自支援の必要性。
「すべての子どもが、安心して安全な給食を食べられるように」「家庭の経済状況によって、子どもの食が左右されることがあってはならない」との訴えが共有されました。
農家・生協からの声
- 燃料費や資材の高騰で、米づくりを続けていてもほとんど利益が残らない状況。
- 海外産米への置き換えが進む中、国産米を支える価格・所得補償の拡充が必要であること。
- 地産地消を進める学校給食は、農家と子どもたちをつなぐ重要な仕組みであり、県としても積極的な支援を行ってほしいこと。
「栃木で育った子どもたちには、栃木のお米を食べてほしい」「農家が続けられる条件を整えてほしい」という声は、参加者の共感を集めました。
最低賃金と若者の流出
- 最低賃金の地域格差が、若者の県外流出を生み出していること。
- 時給1070円に張り付いた現状では、物価高の中で生活が成り立たないこと。
- 「せめて時給1500円が最低ライン」「全国どこで働いても同じ最低賃金に」という要求。
さらに、外国人技能実習生の生活の厳しさや、円安の影響で仕送り額が目減りしている実情も語られ、「日本で働いて良かったと思ってもらえる制度と環境づくりを」という訴えも出されました。
県側からの回答と姿勢

県の担当部署からは、現在取り組んでいる施策として、
- 中小企業の賃上げを後押しする「賃上げ加速・定着支援金」の実施
- 男性の育児休業取得促進のための支援制度
- ハラスメント防止や働き方改革に関するセミナー、コンサルタント派遣
- 労働相談窓口の設置と、最低賃金引き上げに伴う中小企業支援
などが紹介されました。
一方で、多くの課題が国の制度や予算に強く依存していることから、県としても国の動向を注視しつつ、必要な働きかけを続けていくという姿勢が示されました。
また、今回寄せられた意見や要請内容は、
- 労働政策だけでなく、保健福祉、教育、農政などの関係部局に共有すること
- 後日、文書であらためて回答を行うこと
が約束され、参加者からは「対話の場を継続してほしい」との声が上がりました。
社会保障を守り、平和な地域を未来へ
意見交換の冒頭、工藤代表は次のように語りました。
「今、世界は大きな緊張の中にあります。だからこそ、私たちが何よりも大切にしたいのは平和であるということです。平和であってこそ、医療も社会保障も成り立ちます。」
栃木民医連が地域の皆さんとともに建立した「9条の碑」には、二度と戦争を繰り返さないという決意と、いのちと暮らしを守る医療の責任が込められています。今回の要請行動も、その延長線上にある取り組みです。
物価高、人手不足、医療崩壊の危機――どれも抽象的な言葉ではなく、現場で働く人、そこで暮らす人の「今日」の生活に直結する課題です。
栃木民医連はこれからも、県内の仲間と力を合わせて、
- 医療・介護・福祉の土台を支える社会保障の拡充
- 働く人の権利が守られ、安心して暮らせる賃金・労働環境の実現
- 子どもたちが健やかに育つ教育と地域づくり
をめざし、現場の声を政策へつなぐ活動を続けていきます。
今後の県との意見交換や、要請に対する文書回答についても、あらためてホームページ等でお知らせしていきます。
