医学部奨学生学習会を開催しました
~関東地協医学生のつどい(KIT)の学びを次へ、地域とともに歩む医療を考える~(2025年11月11日開催)

はじめに ― 学び合いの場としての医学生学習会
栃木民医連では、医学部奨学生を対象とした学習会を開催しています。オンラインと対面を交え、医学部奨学生を中心に医療系学生が参加。安心して語り合える空気が自然と生まれ、「人に寄り添う医療を学びたい」という思いを共有しました。
アイスブレイクとKITの振り返り
最初のアイスブレイクのテーマは「寒さ対策」。こたつやヒートテック、エアコンの悩みなど身近な話題で笑いが起こり、会場が一気に打ち解けました。
つづいて、11月初旬に行われた関東地協医学生のつどい(KIT)を振り返りました。大谷資料館のフィールドワークと関口真紀医師の講演を通じて、参加者は「地域の歴史・労働と健康」「SDH(健康の社会的決定要因)」への理解を深めました。
「観光地としての大谷しか知らなかったが、かつての労働と健康の歴史を知って衝撃を受けた。医療は社会の文脈の中にあると実感した。」
「同じ病気でも、社会的な条件によって健康の格差が生まれる。医療者として“気づく視点”を持ち続けたい。」
学習講演では「気づかないふりをしてしまう医療者にはならないでほしい」というメッセージが共有され、学生たちは「患者さんの背景にある困難から目をそらさない姿勢」を自分事として受け止めました。
医学生が作った「SDHすごろく」― 学びを形にする試み
この日の話題の一つが、栃木の医学生が仲間とともに制作した「SDHすごろく」。健康と社会的要因の関係を、遊びながら理解できる教育ツールです。イベントでの出展や医療機関連携の中で改良を重ね、子どもから大人まで楽しく学べる内容に育てているとのことでした。今後学習会でも取り入れていきたいと考えています。
「遊びを通して学ぶことで、SDHがぐっと身近に感じられる。社会の構造を可視化し、医療の根っこを考える入口にしたい。」
民医連の理念を自らの手で形にして発信していく――学生主体の挑戦に、参加者から多くの共感とエールが寄せられました。
武井医師の講演から学んだ“排除しない医療”
後半は、宇都宮協立診療所・武井大医師による講演動画を視聴。「医師という職業は、困っている人のそばにいるための手段」という言葉が印象的でした。病気を治すだけでなく、社会からこぼれ落ちそうな人を見つけ、再びつながりを取り戻す――その実践例が紹介され、学生たちは地域で支える医療の姿を具体的にイメージすることができました。
「大学の講義では得にくい、“人と人”の関係を大切にする医療を学んだ。どんな医師になるかに加え、どんな地域をつくりたいかも考えた。」
学生たちの感想とこれからの一歩
講演後のグループワークでは、次のような声が交わされました。
- 患者さんとの関係は、立場を超えた“人と人”のつながり。日々の言葉を大切にしたい。
- 困っている人を見つける力を持つ医師になりたい。気づいたら動く勇気を持ち続けたい。
- 協立診療所やカムカムカフェのように、誰もが安心して集える場づくりが健康につながると実感した。
学びは知識の獲得にとどまらず、「地域で支え合う文化をどう育てるか」という視点へと広がりました。
おわりに ― 医学生が育む地域医療の未来
今回の学習会は、学生自身が語り、聴き合い、考え合う場となりました。発言の根底に流れていたのは、「誰一人取り残さない医療を実践したい」というまっすぐな思いです。栃木民医連は今後も、医学生が地域とともに成長し、医療の未来を描けるよう、学びの機会を大切に育てていきます。
