医療生協50周年記念 九条の碑を建立 ―平和の誓いを未来へ―

2025年11月1日(土)、秋晴れの青空のもと、「虹フェス2025」のオープニングセレモニーとして、栃木保健医療生活協同組合創立50周年記念事業『九条の碑』除幕式が行われました。会場には多くの組合員、地域住民、職員、関係団体の方々が集まり、平和への願いとともに記念すべき一日を迎えました。
目次
関口真紀理事長の挨拶 ― 「戦争をしない」という決意を今に

式典の冒頭で挨拶に立った関口真紀理事長(医師)は、まず栃木保健医療生協が50年にわたり地域とともに歩んできたことへの感謝を述べました。
「創立当初は混乱も多く、道のりは決して平坦ではありませんでした。しかし、組合員や地域の皆さん、そして仲間の職員の力で、私たちは50年の歩みを重ねることができました。心から感謝申し上げます。」
続けて関口理事長は、今回建立された「九条の碑」の意義を語りました。
「日本国憲法第九条は、戦争の悲惨な経験を経て生まれた、人類の良心の結晶です。二度と戦争はしないという誓いは、アジア諸国への加害の歴史と数千万の命を失った反省に立ち、平和を願う決意の象徴です。」
そして、「憲法九条があるからといって、自動的に平和が守られるわけではありません。憲法第十二条には“国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない”と書かれています。平和は、私たち一人ひとりの不断の行動によって守られるものです」と力強く訴えました。
この言葉には、医療の現場で日々人の命と向き合う医師としての実感が込められています。戦争の犠牲のもとに築かれた「平和」の価値を改めて見つめ直し、「医療を通じていのちと平和を守る」という決意を新たにしました。
九条の碑 除幕と題字への想い

関口理事長の言葉に続き、関口理事長と虹フェス実行委員長・鈴木順子さんによって除幕が行われました。白布が取り払われると、黒御影石に刻まれた「九条の碑」が静かに姿を現し、会場からは大きな拍手が起こりました。
碑面に刻まれた題字「九条の碑」は、長年の組合員である佐藤さんによる書です。短い準備期間にもかかわらず、心を込めて筆をとり、その思いが永遠に石に刻まれました。書体には、平和への祈りと優しさ、そして力強い生命の息吹が感じられます。
この碑の制作には、地域の石材店であるみのわ石材店の丁寧な協力もあり、関係者一同が「地域とともに平和を守る医療」の象徴として完成を喜び合いました。
鈴木順子実行委員長からのメッセージ
除幕後には、鈴木順子実行委員長が挨拶に立ちました。「医療生協50年、被爆80年という節目の年に、平和の願いを形にできたことに感謝します」と語り、準備に関わったすべての人々への感謝の言葉を述べました。
また、館内では「医療生協50年の歩み」を振り返る写真展示や、広島の高校生が被爆者の話を聞いて描いた絵の展示も行われ、戦後80年を見つめ直す企画として多くの来場者の関心を集めました。

式の最後には、ギターとバイオリンの伴奏で「青い空は」を合唱。笑顔と拍手に包まれながら、平和への思いを共有する温かなひとときとなりました。

50年の歩みを胸に、平和と医療を未来へ

除幕式のあと、「虹フェス2025」本編が始まりました。会場には模擬店や健康チェック、医師による相談コーナー、フリーマーケットなどが並び、子どもから高齢者まで多くの人々が楽しみました。

栃木保健医療生協が築いてきた50年は、単なる医療の歴史ではなく、「地域とともに生き、平和を守る医療の実践」の軌跡でもあります。九条の碑の建立は、その歩みの先にある未来への約束です。

今後も募金活動を通して、この碑を地域の平和のシンボルとして育てていくとともに、「いのちと暮らしを守る医療」「戦争を許さない社会」を次の世代へと引き継いでいきます。
(栃木民医連事務局)
【関連情報】
虹フェス2025 主催:虹フェス実行委員会/栃木保健医療生活協同組合
日時:2025年11月1日(土)11:00〜13:30
会場:栃木保健医療生協本部前(宇都宮市宝木町2丁目1028-17)
内容:模擬店・健康チェック・医師とのトーク・平和展示など
