地域医療を守るために――医療機関の経営危機に対する緊急署名を呼びかけています

栃木県民主医療機関連合会(栃木民医連)では、2024年県内の医療機関に対して「医療機関の経営状況アンケート」を実施し、43件の回答をいただきました。その結果から、医療現場がいま直面している深刻な実態が浮かび上がりました。

 

 

◆ アンケート結果の概要(回答43件)

  • 診療報酬改定の影響: 「減収減益」と回答した医療機関が28件(約6割)にのぼり、経営への打撃が明らかになりました。
  • 職員処遇改善の評価: 政府目標「2年間で4.5%改善」に対し、「不十分」と回答したのは32件、「十分」はわずか1件。
  • 経営収支の現状: 「黒字」24件に対し、「赤字」18件。経営の厳しさが続いています。
  • 職員体制の充足状況: 看護師体制は「充足21件」「不足21件」と拮抗し、薬剤師・看護補助者・事務職でも不足が目立ちました。

自由記述では「このままでは医療を続けられない」という切実な声が多く寄せられました。
診療報酬が低すぎて人件費や物価高に追いつかず、看護師・医師不足は深刻化。救急・小児医療の維持も限界に近づいています。
資材やシステム維持費、税負担も重く、過重労働による疲弊が広がる中で、国や自治体に対し「持続可能な医療のため抜本的な支援を」との訴えが寄せられました。

 

◆ 署名活動の呼びかけ

こうした実態を受け、栃木民医連では現在、「地域住民の医療を受ける権利を保障するために、医療機関の維持存続への支援を求める緊急署名」に取り組んでいます。
この署名は、全国で100万筆を目標に、来年1月の国会提出を予定しています。

県内ではすでに医療機関1,259件へ署名用紙を送付し、41医療機関から120筆の署名が集まっています。
今後は、11月に県内共同組織へ9,500部を機関誌とともに配布し、より広く地域に呼びかけていきます。

 

 

◆ 背景にある医療崩壊の危機

日本赤十字社では全国で325億円、済生会は83病院で216億円の赤字を計上。全国的に病院の経営は危機的な状況にあります。
病院団体連名で政府に「1病床あたり50〜100万円の緊急支援」「次期診療報酬10%超の引き上げ」を求める要望書も提出されました。

 

◆ 住民の「いのちの平等」を守るために

誰もが、いつでも、どこでも、安心して医療を受けられる社会を守るために。
私たちは、地域医療の現場から声をあげ、制度の改善を求めていきます。

皆さまのご理解とご協力を心よりお願いいたします。

(栃木県民主医療機関連合会)