医学部奨学生学習会レポート|PFASを動画で学ぶ
開催日:2025年10月28日/参加:医師・医学生・薬学生
TBS報道特集「井戸の地下水から基準値400倍、進まぬ実態把握『PFAS』汚染」を視聴し、
住民の健康影響と医療の役割について意見交換を行いました。
見えにくい公害に、医療者としてどう向き合うかを学びました。
目次
1.学習会の概要
栃木民医連の奨学生(医学生・薬学生)と医師が集まり、PFAS(有機フッ素化合物)汚染をテーマに学習しました。
映像視聴後は、行政の説明不足や情報公開、住民へのフォロー体制などを論点にディスカッションを行いました。

学習会の様子(報道特集を視聴しながら要点をメモ)
2.PFASとは?
PFASは水や油を弾き、熱にも強い性質から、泡消火剤・フライパン表面加工・撥水加工などに広く用いられてきた
有機フッ素化合物の総称です。体内に蓄積しやすく分解されにくいことから、
海外・国内で健康影響(脂質異常症、腎臓がんのリスク上昇、胎児・幼児の発育への影響など)が懸念されています。
近年の調査では、全国の地下水・河川で基準値を超える地点が報告され、
一部では基準の数百倍という高濃度が見つかった事例も示されています。
3.動画から見えた現実
映像では、米軍基地由来の泡消火剤漏出や、化学メーカー周辺の地下水汚染が取り上げられました。
住民の血液からは健康リスクを高めるとされる濃度が多数検出され、
「体内に入ったPFASへの不安」と「行政の説明不足」が大きな課題として共有されました。
4.奨学生の声
- 「政府や自治体の対応が遅く、住民への説明も不足していると感じた」
- 「血中濃度が高い人へのフォローやスクリーニングの在り方を学びたい」
- 「責任の所在が曖昧なまま被害が拡がる現実に疑問。予防の重要性を実感」
- 「水俣病など過去の公害を踏まえ、正確な情報発信と住民に寄り添う医療が必要」
5.医療者としての姿勢
奨学生・医師の共通認識として、次の3点を確認しました。
- 不安に寄り添う医療:検査の必要性や結果の意味を丁寧に説明する。
- 科学的根拠に基づく発信:最新知見を学び、地域へ分かりやすく届ける。
- 予防最優先:曝露回避(飲料水・食材・生活環境)を第一に考える。
「困っている人に寄り添い、ともに解決へ歩む」――民医連として大切にしてきた原点を再確認しました。
栃木民医連 事務局/写真提供:学習会参加者
