第46回 医学生のつどい in 大阪に参加して
目次
1日目 戦争と医の倫理を学ぶ
2025年9月27日・28日、全日本民医連主催の「第46回 医学生のつどい 秋プレつどい」が大阪アカデミアで開催されました。
全国から集まった医学生たちは「平和〜ひとりひとりの人生から考える〜」をテーマに、2日間にわたって講演やグループディスカッションを行いました。
初日の学習企画では、京都民医連中央病院名誉院長の吉中丈志先生が「731部隊と医の倫理」をテーマに講演しました。
吉中先生は、15年戦争期に医学者や医師が果たした役割を丁寧にたどり、「戦争は医学・倫理を従属させてしまった」と指摘しました。
731部隊が行った人体実験や毒ガス開発の背景を学びながら、医療者として「命の尊厳」をどう守るかを考える時間となりました。
さらに広島県・大久野島での毒ガス工場の歴史を取り上げ、島民が知らぬ間に強制労働に従事させられた事実や、今も続く環境汚染・健康被害にも触れました。
参加した学生からは「加害と被害の両面を学び、平和を守ることが医療者の使命であると感じた」との声が寄せられました。
被害者の苦しみを他人事にせず、社会構造の中で生じる差別や暴力を見つめる学びとなりました。
2日目 民医連の医療と研修を考える
2日目は「民医連の医療と研修を考える」をテーマとした研修企画が行われました。
奈良民医連・吉田病院の専攻医、鳥居沙南先生が「私の研修と平和運動」と題して講演し、学生時代から民医連で学んできた経験を語りました。
鳥居先生は、学生時代に被災地フィールドワークや平和活動に取り組み、現在は精神科医として患者さんと真摯に向き合う日々を紹介。
「患者さんの背景や人生を理解することが、最良の医療につながる」と述べ、医療と社会を結ぶ視点の大切さを語りました。
また、ロシアによるウクライナ侵攻への反戦スタンディングや、LGBTQをテーマにした地域発表など、医師として社会に働きかける実践も紹介しました。
「平和は健康の前提であり、すべての人の健康は平和の基礎である」というWHOの言葉を引用しながら、
鳥居先生は「診療と平和運動は医師としての両輪」と結びました。
その後のクロストークでは、青木医師(大阪)、町田医師(新潟)、
学生代表の山田さん(長崎)も登壇し、研修のリアルや理想の医師像を語り合いました。
学生たちはそれぞれの地域医療の現場や研修制度の違いを共有しながら、「ともに学び、ともに育つ仲間づくり」の大切さを実感しました。
参加した医学生の声
「731部隊の話を聞いて、医療と戦争の関わりを初めて真剣に考えた」
「平和を守ることと、患者の尊厳を守ることがつながっていると感じた」
「鳥居先生の“診療と平和運動は両輪”という言葉が印象に残った」
「全国の仲間と語り合い、自分の目指す医師像を具体的に描けた」
など、多くの感想が寄せられました。
つどいを通して、学生たちは“医療と社会のつながり”を改めて考え、
平和な社会を築くことが医療の根幹にあることを実感しました。
学びを各地に持ち帰り、これからの医師としての歩みへつなげていく決意を新たにしました。