医学生が学んだ「広島の二つの側面」と地域医療

— 原水禁世界大会と医学生ゼミナール参加報告(医師部会での発表より)

はじめに

この夏、本会の医学生が原水爆禁止世界大会(広島)医学生ゼミナール(島根)に参加し、その報告を医師部会で行いました。
現地での学びと気づきを、感想文および部会での発表内容にもとづきご紹介します。

広島で考えた「二つの側面」

広島は、唯一の戦争被爆国・日本を象徴する平和都市であると同時に、かつては戦争を支えた軍都でもありました。
「どちらか一方だけでは広島を知ることはできない」——現地でその二面性を学ぶことで、歴史の重みと現在の社会課題の双方から平和を考える大切さを実感したと報告しています。

被爆者の声と、いまの課題

大会では被爆者の方々の生の言葉に触れ、「核兵器の非人道性」をあらためて深く受け止めました。
同時に、日本が核兵器禁止条約に未加盟である現状に矛盾を感じたとの指摘があり、被爆国として世界に発信すべき責務について考えを深める機会となりました。

呉基地見学で見た現実

呉では、日本製鉄の解体現場や海上自衛隊の複合防衛拠点整備に関わる動きを視察。
市民の反対の声が十分に反映されないまま計画が進む様子を目の当たりにし、平和都市・広島が再び軍事と隣り合う現実への違和感と不安を抱いたといいます。

メモ: 現地での学びは、「被害」と「加害」の歴史を併せて捉える視点を磨く契機にもなりました。

島根・医学生ゼミナールでの学び

医学生ゼミナール(テーマ:地域医療)では、地域に根ざした医師の講演を通じて、人と人のつながりコミュニケーションの重要性を実感。
全国の学生との交流から、これからの大学生活を歩む上での大きなエネルギーを得たとのことです。

医師部会の声

報告を受けた医師からは、「広島の二つの側面に気づかされた」「被害と加害の歴史をともに学ぶ姿勢が大切」「地域医療の学びを今後に活かしてほしい」といった意見が寄せられました。

感謝と今後への一歩

多くの方からのカンパや応援により、現地でしか得られない学びを体験できました。
今後は、身近な学習会や仲間との対話の場を通じて、学びを共有し、平和を自分ごととして考える輪を広げていきます。