高校生医療体験レポート
職員との語らいから見えた、医療のやりがいとあたたかさ
目次
1. はじめに
「医療の現場ってどんなところ?」「どんな人が、どんな思いで働いているの?」
そんな疑問や期待を胸に、高校生たちが協立診療所を訪れました。今回の体験の中で特に印象的だったのが、職員と高校生がじっくりと語り合う「対話の時間」。この時間を通して、地域医療の魅力と、人と人とのつながりの大切さが伝わる場となりました。
2. 対話の場の雰囲気
会場は、自然光の差し込む明るいスペース。白衣を着た高校生たちが、看護師や事務職員と円になって座り、ゆったりと会話を交わす時間が流れます。初めは緊張気味だった生徒たちも、職員のあたたかな語り口にほっとした様子。
「朝礼から働く方々の仲や雰囲気の良さが伝わってきて、とても緊張がほぐれました」
そんな感想があったように、和やかな空気が自然と生まれていました。
3. 看護師からのメッセージ
看護師さんは、自身が3歳の頃、祖父の在宅看取りに立ち会った経験がきっかけで看護師を志したと語ります。急性期病院での勤務を経て、より患者さんに寄り添える医療を目指して、協立診療所へ。
「ここでは患者さんとより深く関われる。外来、入院、在宅と、幅広い場面で寄り添えるのが地域医療の魅力です」
患者さんの「ありがとう」の言葉や、回復して外来に来る姿を見たときに感じる喜び。そうしたエピソードには、高校生たちも深くうなずきながら聞き入っていました。
また、ある看護師は、最期を迎える患者さんとご家族の対応についても触れ、
「夜間の電話対応で“亡くなりました”と連絡を受けることがある。だけど、最後に『ここでよかった』とご家族が言ってくれるとき、ほんとうにこの仕事をしていてよかったと思います」
と語り、生徒たちの心にも強く残る時間となりました。
4. 事務職員からのメッセージ
医療事務職として働く職員からは、
「受付の仕事も、ただの窓口対応ではない。患者さんの小さな変化に気づいて看護師につなげることもある」
という話がありました。医療経験ゼロからのスタートでも、温かい職場のサポートや研修制度に支えられて、自信をもって働けるようになったそうです。
「事務、看護師、医師のコミュニケーションがうまく取れていると感じました」
といった高校生の感想にもあるように、職種の違いを越えて支え合うチームの姿は、この診療所の魅力の一つです。
5. 医療の現場で大切にしていること
参加した高校生の中には、医師に陪席し診察を見学した生徒も。
「大腸がんの患者さんのご家族が“本人には告知したくない”と話していて…でも本人はしっかりしている。その判断がとても難しいと感じました」
医療には、正解のない問いがたくさんあります。それでも、患者さん一人ひとりと向き合い、何が一番良いのかを一緒に考えていく。その姿勢が、この地域医療には息づいています。
「どんな訴えにも耳を傾けて、“どうしてそう感じるのか”を一緒に考えることを大切にしています」
という看護師の言葉は、まさにその象徴でした。
6. 高校生の感想より
- 地域医療は思っていたよりも医療従事者と患者さんとの距離が近かったです。
- 職員同士の仲の良さ、雰囲気の良さが伝わってきました。
- 訪問看護について詳しく知ることができ、患者さんととても近い関係で驚きました。
- レントゲンや診察の説明も丁寧にしていただき、疑問がクリアになりました。
- 診察室でのやり取りを見て、先生方が本当に患者さんと向き合っているのが伝わってきました。
- 医師体験に来て本当によかったです。ありがとうございました。
7. おわりに
「医療の現場」と聞くと、少し堅くて、近づきにくいイメージがあるかもしれません。でも、実際にそこには、人と人とのつながりがあり、あたたかく、力強く支え合う姿があります。
今回の体験が、参加した高校生にとって「医療を志す意味」を考えるきっかけになってくれたなら、職員一同とてもうれしく思います。
※この記事は、2025年7月に実施された「高校生医療体験」の一場面を記録したものです。
※写真は、対話の様子を記録したものです。