医学部6年生が模擬面接に挑戦

――初期研修に向けた実践的なサポートと成長の記録

2025年夏、医学部6年生が、初期研修先を決めるマッチングに向けて模擬面接を受けました。模擬面接の場は、学生の希望先の病院で実際に行われる面接を想定して構成され、栃木民医連の事務局長が面接官役として対応。礼儀、志望動機、価値観の共有に至るまで、細やかにやり取りが交わされました。

この模擬面接は単なる「リハーサル」ではなく、学生が医師として歩み出す第一歩をより確かなものとするための、大切なトレーニングのひとつです。学生にとって面接とは、これまでの学びや経験、将来の展望を短時間で的確に伝えなければならない試練でもあります。事務局長は「学生本人の思いや人柄を引き出すこと、そして本番でもそれをきちんと伝えられるようにサポートすること」を意識し、真摯に向き合いました。

 

自分らしさをどう表現するか――模擬面接で見えた成長の軌跡

模擬面接では、学生が大学で取り組んだ研究や、地域医療や在宅医療への関心、また実際の介護アルバイトでの経験を中心に話が展開されました。ALSの患者さんとの関わりを通して「意思を尊重する医療」「人間らしさに寄り添う医療」の大切さを学び、困難な状況にも向き合ってきた経験を語る姿には説得力がありました。

 

特に印象的だったのは、訪問介護のアルバイトを通して、発話が困難な方とのコミュニケーション方法を工夫しながら確立していったエピソードです。単に業務をこなすのではなく、ご本人の「思いを汲み取ること」に真剣に向き合い、職場の他のヘルパーと連携しながら新たな試みを取り入れていく姿勢は、医療職に求められる「協調性」と「課題解決力」を体現していました。

 

医学生さんはまた、実習やチーム活動の中で生じた意見の対立にも「対話による解決」を試み、自分の考えを一方的に押し付けるのではなく、相手の気持ちや背景を尊重する姿勢で関係性を築いてきたことも話しました。そうした姿勢は、医師として多職種と協働し、患者さんと信頼関係を築いていくうえで、大きな力となるはずです。

 

 

緊張の中にも伝わる“想い”――模擬面接の振り返り

面接終了後には、質疑応答の内容、所作、言葉遣い、回答の構成についてフィードバックが行われました。医学生は「1週間前より自信を持って話せた」と手応えを感じた様子で、事務局長も「内容・表情ともに100点満点。伝えたいことが伝わってくる良い面接だった」と高く評価しました。

 

志望動機や自己PRにおいても、病院とのエピソードや見学時の印象などが具体的に語られ、「その病院で働きたい」という熱意がしっかりと伝わりました。とくに「最後、バス停まで研修医と事務職員が見送りに来てくれたことが印象的だった」という言葉には、医学生が人との関わりを大切にしていることがにじみ出ていました。

 

さらに、模擬面接を通して学生が自分自身の考えや価値観を言語化し、整理することができたことも大きな収穫でした。本番の面接においては、技術的な対策に加え、「自分はなぜ医師になりたいのか」「なぜこの病院を選んだのか」を自分の言葉で伝えることが重要です。そのための準備として、この模擬面接は大きな意味を持っていたと言えるでしょう。

 

 

医師としての第一歩をともに支えるために

栃木民医連では、地域に根ざした医療に共感し、医師としての道を歩もうとする学生を支える体制を整えています。模擬面接をはじめ、実習や面談、奨学金制度の活用など、学生一人ひとりに寄り添いながら、将来の医療人としての成長を支援しています。

今回模擬面接を受けた学生も、面接本番を目前に控えつつ、自分自身の原点や理想の医師像を改めて見つめ直す貴重な機会となったようです。どの病院に進むことになっても、「人を大切にする医師」「チームで支える医療人」として羽ばたいてくれることを願っています。


 

 

学生向けQ&A:模擬面接ってどんなことをするの? 不安なあなたへ

Q1:模擬面接ではどんなことを聞かれますか?
A: 志望動機、学生時代に力を入れたこと、医師として大切にしたいこと、今後のキャリアの希望などが主な質問内容です。実際に面接官役の職員と向き合って、本番さながらの雰囲気で練習します。

 

Q2:面接対策って、どのくらい準備すればいいの?
A: 1~2週間前から準備を始め、志望動機や自己PRを自分の言葉で話せるようにしておくと安心です。模擬面接の際には、自分では気づかなかった癖や表情、言葉遣いについてもフィードバックがもらえるので、本番前に大きく成長できます。

 

Q3:面接が苦手でも大丈夫ですか?
A: 大丈夫です。むしろ「面接が苦手かもしれない」と感じている方にこそ、模擬面接はおすすめです。練習することで自信がつき、自分の強みを整理する良い機会になります。

 

Q4:どんな服装で行けばいいですか?
A: 基本はスーツで臨みます。模擬面接でも本番を想定してスーツで来る学生が多いです。髪型や姿勢、表情も意識して臨むと印象が良くなります。