原水禁世界大会に向けた結団式を開催――被爆80年の節目に、平和を考える一歩を

2025年夏、被爆80年という節目の年を迎える広島・長崎にて、「原水爆禁止世界大会」が開催されます。栃木からは、医療・福祉・教育・労働など多様な分野の市民・職員・学生・高校生を含む代表団が参加することとなり、先日、その結団式が宇都宮市内で行われました。

集まった参加予定者や関係者は、初めてこの大会に臨む方から、過去何度も参加経験のあるベテランまでさまざま。年齢や立場を超えて「核のない世界」「平和な未来」への願いを共有し、準備の確認とともに思いを語り合う、温かな場となりました。

 

 


多世代が共に学び、歩む結団の場

今回の結団式には、栃木県内各地から十数名の参加予定者が集いました。高校生や大学生のほか、子どもと一緒に参加する保護者や、医療や福祉に携わる職員、地域で活動する市民も加わり、多世代・多様な立場からの参加が特徴的でした。

「本や授業で知っていたことと、実際に現地で感じることはきっと違う」「自分の言葉で伝えられるようになりたい」「今回が人生で最後の参加になるかもしれないから、若い人たちにバトンを渡したい」――参加者からは、そんな率直な思いが語られました。

特に、高校生や大学生など若い世代が複数参加していたことに、周囲からは「未来への希望を感じる」という声も多く聞かれました。

 


日程の確認と学習の意義

結団式では、広島での行動日程や宿泊、分科会の詳細、持ち物、集合時間などの具体的な説明が行われました。今年の大会は、例年にも増して全国から多くの参加者が見込まれており、宿泊施設の確保や移動の工夫など、実務面でも丁寧な準備が進められています。

また、事務局からは「現地ではただ学ぶだけでなく、自分自身の目と耳で確かめ、記録し、報告することも大切」とのメッセージが伝えられました。帰ってきてからの報告会や活動への還元が、平和の取り組みを“自分ごと”として深めていく重要なプロセスと位置づけられています。

 

 


平和への思いを共有する時間

会の後半には、参加者一人ひとりが自己紹介を行い、今回の参加にあたっての思いや動機を語り合いました。原爆について「詳しく知らなかった」と語る人、「テレビで見てはいたけど、実際に現地に行くのは初めて」という人、「何十年も前に参加したが、改めて平和を問い直したい」という人まで、多様な背景が交差する場となりました。

ある参加者は、「被爆の実相だけでなく、日本がアジアに対して行った加害の歴史も学び直したい」と話していました。そうした学びを通して、日本国憲法がどのような歴史的背景から生まれたのか、また、それが今どう問われているのかについても理解を深めていく予定です。

 

 


「送り出す側」からのエール

会には、実際に現地に行く人々を支える側の参加もあり、送り出す側からの激励もありました。「行って学んだことを、それぞれの現場や地域に持ち帰って伝えてほしい」「今、声を上げづらい世の中になっているからこそ、平和を願う声を届けてほしい」といった言葉に、参加者たちは深くうなずいていました。

ある支援者は、「高校生のときに初めて大会に参加してから、自分の人生が変わった。その経験を今の若い人たちにもしてほしい」と語っていました。参加することそのものが、自分自身の生き方を見直すきっかけになる。そんな思いが、世代を超えて共有されました。


いよいよ出発へ――「伝える」ための準備を

大会では、被爆者の証言を聞く機会や、全国から集う参加者同士の交流、分科会での学びなど、貴重な体験が予定されています。結団式では「体調管理に気をつけて」「暑さ対策を万全に」「こまめに記録を取っておくと後で報告しやすい」といった、経験者からの具体的なアドバイスも共有されました。

「現地で感じたことを、どう地域に伝えていくか」――それが今回の参加の大きなテーマの一つでもあります。大会終了後には、報告会や記事の作成などを通じて、平和の願いを広げていく取り組みが予定されています。

 


平和の願いを、栃木から広島・長崎へ

原水爆禁止世界大会は、被爆の実相にふれ、核兵器廃絶と平和の尊さをあらためて考える場です。被爆から80年を迎え、被爆者の高齢化が進む中、次の世代がこの願いを受け継ぎ、発信していく責任が求められています。

今回の結団式を経て、栃木からの代表団は、それぞれの思いを胸に出発の時を迎えます。どうか皆さんも、この取り組みに関心を寄せ、そして今後の報告にもご注目ください。