「地域の中に、あたたかい居場所を」
――栃木県宇都宮市 生協ふたば診療所・諏訪看護師長、関東地協総会後の学習会で「つながるカフェ★カムカム」の取り組みを紹介
「地域の中に、誰もがほっとできる居場所をつくりたいんです」
そう語るのは、生協ふたば診療所の看護師長・諏訪さん。
2025年7月6日に開かれた関東地協総会後の学習会にて、地域の人々と診療所が共につくる「つながるカフェ★カムカム」の取り組みを紹介しました。
気になる方との出会いから始まった想い
「外来で出会ったある方が、診察の合間にふと話してくれたんです。”夏休みなどの長期休みで学校給食がない期間に、栄養が十分にとれず、心配になるお子さんがいる”ことを。
何かできないだろうか…その気持ちが、ずっと私の中にありました」
診療所で働く中で出会う日々の小さな気づきが、カムカムの原点でした。
民医連での学びや、地域の子どもたちの状況を描いた映像作品との出会いも重なり、「私たちにできることを、ここで始めたい」と思うようになったと言います。
みんなでつくった「つながるカフェ★カムカム」
2021年、生協ふたば診療所と地域の介護事業所ふれあいコープが協力し、地域の居場所として「つながるカフェ★カムカム」が誕生しました。
元教員の組合員さんや看護師、事務スタッフ、地域の方など多くの人の力を合わせ、空き家を改修して“まちの保健室”のような場ができあがりました。
「名前の“カムカム”には、“来てね”という気持ちと、“噛む=食べる”という意味を込めました。
“食べて、しゃべって、笑って帰れる場所”を目指したい――そんな気持ちで始めたんです」
カムカムでは、毎週火曜日にサロンを、月に一度金曜日には子ども食堂を開催。宿題や遊び、手作りの食事を通して、多世代が自然につながり合う空間が生まれました。
役割があることで、人は輝く
「カムカムに来ていた若い方が、配膳や調理のお手伝いをしてくれるようになりました。“また来てね”“助かったよ”って声をかけられて、嬉しそうに笑う姿を見ると、こちらの方が元気をもらってしまうんです」
参加者の中には、ふたば診療所の受診をきっかけにカムカムと出会い、今ではボランティアとして活躍している方もいます。
地域の子どもたちと一緒に過ごす時間が、生きがいとなっている方も少なくありません。
誰かにとっての「居場所」であると同時に、そこには自然と「役割」も生まれています。
拠点が変わっても、思いは変わらない
2023年、拠点としていた一軒家の家主の方が亡くなり、活動場所を移さざるを得なくなりました。
その際、介護事業所との共同運営は終了しましたが、カムカムそのものはふたば診療所の2階へと移転し、継続されています。
「拠点が診療所の中になったことで、職員も参加しやすくなりました。
仕事が終わった後に顔を出してくれるスタッフもいて、“あの子、来てる?”なんて会話も生まれます」
調理ボランティアや学習支援の方々、食材を届けてくださる地域の方々…。関わる人の輪は広がり続けています。
「また来てね」のひとことで、つながる
「“また来てね”って言われるだけで、人は救われることがあります。
自分のことを覚えてくれている、待っていてくれる――そんな場があるって、すごく大事なことだと思うんです」
「つながるカフェ★カムカム」は、地域の中にあたたかなまなざしとつながりを育んでいます。
子どもも、大人も、そして医療や介護の職員も、そこに集う誰もが「誰かとつながる」ことを大切にしています。
診療所が地域の人々と手を取り合ってつくる、もうひとつの“ケア”のかたち。
これからもカムカムは、無理せず、無理させず、笑顔が生まれる場所であり続けます。